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2007年度(平成19年度) | 資料集 | 大分県産業科学技術センター

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Academic year: 2018

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全文

(1)

圧密技術を利用した環境配慮型竹製接合具の開発

― 押し抜き成型による圧密竹コネクター製造技術の開発 ―

大 内 成 司

*

・ 古 曳 博 也

*

・ 阿 部

**

井 上 正 文

***

・ 田 中

***

・ 後 藤 泰 男

****

・ 梶 原 光 男

*****

*

産 業 科 学 技 術 セ ン タ ー ・

**

竹工芸・訓練支援センター

***

大分大学・

****

㈱ホームコネクター・

*****

㈱エクセム

D

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ens i f i ed Bam

boo Connec t or Com

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・Kei TANAKA

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・Yas uo GOTO

****

・ Mi t s uo KAJ I WARA

*****

Oi t a I ndus t r i al Res ear c h I ns t i t ut e・

**

Oi t a Bamboo Cr af t and Tr ai ni ng Suppor t Cent er

***

Oi t a Uni v er s i t y・

****

Home Connec t or Co. , Lt d.

****

ECSM Co. , Lt d.

要旨

本研究では、これまで 開発してきた竹コネクターの更な る強度の向上を 目指し、物理的手段として、テ ー パー状の 金属治具を使用した絞り 加工による全 周 囲からの圧密化処理を施し、押し 抜き成型法によ る圧密竹コネクタ ーの製造 を試みた。また、量産化 に向けた押し抜 き成型加工装置 の開発を行った。 圧密する竹ヒゴ は、竹材の表皮側 が台形断 面の上底(短辺)側に、内皮側が下底(長辺)側になるように加工し、その台形ヒゴの内皮側が外側になるように8本 を束ねたものを圧密する ことにより、密 度の低い内皮側 が選択的に圧密されるため均一的 な圧密竹コネクタ ーの製造 が可能となった。製造し た圧密竹コ ネ ク ターを使用した 木造継手接合部の 引張試験を行っ たところ、コ ネ ク ター表面 に加工を施したものは製造方法の違いに 関わらず、仮説構造物の短期許容応力のほぼ2倍 の耐力を示した。 また、押 し抜き成型加工装置の開発により圧密竹コネクターを3分間に1本の割合で製造することが可能となった。

1. はじめに

地球環境問題が叫ばれる中で、すべての分野で廃棄物 対策が不可欠となっている。中でも木質系廃棄物は、他 の材料製品に比べて対応が遅れているとされ、問題視さ れている。その理由のひとつとして材料自身のリサイク ルは技術的には可能にもかかわらず、接合に使用される 金物類(釘やビス等)と木材との分別に手間がかかり、 採算が取れないということが挙げられている。

そこで我々は、分別の必要がなく、解体後有用資源と して再利用したり、そのまま破砕しパーティクルボード 等にリサイクル、あるいはバイオマス燃料として使用す る木造住宅の解体材リサイクルに有利な木材接合法の実 現を目指し、「竹材と接着剤を併用した接合法」の開発 を続けてきた。これまでに、小径の竹材や竹材を集成加 工した接合具(以下、竹コネクターという)を提案し、 その製作方法と強度性能について検討を行ってきた。そ の結果、金属製よりも強度はやや劣るものの、安定した 引張強度を得ることができた。また、「リサイクルも容 易であり環境に優しい」という観点から評価され、2006 年に開催された愛知万博の日本政府館「長久手日本館」 の構造用接合具として6万本採用された。しかし、強度 が金属製のおよそ1/ 3であることから、金属製と同等性 能の接合を実現するためには、使用本数を増やす、コネ

クターの断面を大きくする等の対応が必要となるため、 今後の事業化や需要の拡大を図るためには、強度の向上 が不可欠要である。

木竹材の曲げ強度・引張り強度等は、密度にほぼ比例 して向上することが既往の研究から知られている。そこ で本研究では、物理的手段として、搾り加工による全周 囲からの圧密化処理を施し密度の向上による強度の向上 を目指し、量産化に向けた製造方法の検討を行ったので 報告する。

2. 実験 2. 1 押し抜 き成 型 法に よ る製作

図1に押し抜き成型法の概念図を示す。この方法はテー パー状の 筒状金属治具の 挿入口 の断面積 に相当 する竹ヒ ゴを束ね て挿入し 、加圧 し な が ら押し込 み、テ ーパーの 部分で徐 々に圧 密 化を図 る方法 である。 竹ヒゴ には接着 剤を塗布 しておき 、圧密 と同時 に接着を 行い円柱状に加 工する。 コネクターの形 状は、 接着剤導入用の 穴が中央 にあいた 中空状を し て い る。圧密処理を 施すと 密度の向 上に伴い 硬度が増 すため 、その 後に小径 のド リ ルでの穴 あけ加工 が困難になることが予 測されるため、 最初から 穴のあいた状態での圧密を行うことを検討した。

竹ヒゴの形状は、図2に示すように、竹材の表皮側が台

(2)

形断面の 上底(短 辺)側 に、内皮側が下 底(長 辺)側に なるようにヒゴ加 工を行 った。 まず、そ の台形 ヒゴの下 底側(内皮側)が 外側になるように側辺 に接 着 剤を塗布 した後、 8本を束 ねて八角柱状 にした。 こうすることに より、柔 らかい柔細胞が 多く占 める内 皮 側が選択的に圧 密されるため均 一 化が図 られる 。金 属 治 具は、 八角柱状 に構成し た竹ヒゴ を挿入 する上 部ストレート部 、圧密を 行うテーパー部、 圧 密 成 型さ れ たコネクターを 受け入れ る受け治 具の3つ のパ ー ツから 構成されている 。これら の治具は、あらかじめ約150℃に加熱しておき、竹ヒゴの 熱軟化と接着剤の硬化を促進させる。

作 業 手 順は、ま ず、金属治具 の上部ス ト レ ー ト部に八 角柱状に構成した竹ヒゴを挿入する。この時、φ 6mmの 金属棒を 中央部に 挿入し 、接 着 剤 導 入 用 穴を確 保するこ ととした 。この金属棒に は圧密加工後、 容易に 抜けるよ うにテーパー加工を施している。竹ヒゴの長さは155mm とした。 次に、 φ 24. 5mm の圧 入 棒でテーパー 部の上面 まで押し 仕込み、 引続き 、φ 16mmの圧入棒で 受け治具 まで押し込み、押し抜き成型が完了となる。

ここで、 圧密後の スプリングバックに よ る摩擦抵抗が大 き く な る こ と を 考 慮に 入 れ 、 テ ー パ ー 部 の 最狭部 を φ 16. 7mmと し、テーパー 部の出 口をφ 18. 0mm とした。 また、テーパー部 から受 け治具 にス ム ー ズに侵 入するよ うに受け 治具の 入り口付近を φ 18. 3m mと し た。φ 16. 7 mmでは 、圧密率 が高す ぎ た た め最狭部 を通り 抜けるこ とが出来 な か っ た。そ こ で、φ 17. 3mm に若干直径を大 きくしたが、同様 な現象 が生じたため、 再度、 直径をφ 17. 6mmに 大きくした。そ の結果 、最 狭 部は通 り抜ける ことが出 来るようになったが、 受け治具 の中央付近まで 押し込む と、摩擦抵抗の 増加で 上部ストレート 部内の竹 ヒゴが圧 力に耐え 切らなくなり 、座屈による破 壊が目立

つようになった 。この時 の荷重 が、概 ね10kNを 超えると

このような現象が見られた。図3にその荷重曲線を示す。

A- 1(青線)は荷重が11kN辺りから一旦下降し、再び上昇

しているが、この 時点で 座 屈 現 象が起こっていると推察 される。A- 2(赤線)はスムーズに押し抜き成型ができた

場合の一 例で あ る。変 位が150mm付近で 一旦0kNまで下降

しているのは、 圧入棒 をφ 24. 5mmから φ 16mmに 交換した

ときである。摩擦抵抗を 減少させるには 、テーパー部と 受け治具 の内面( 接触面 )の平滑性を向 上させ 、滑りを 良くする 方法が考 え ら れ る。そこで、硬 質クロムメッキ を施し、 平滑性を 向上させることとした 。メ ッ キを施し たことにより、摩擦抵抗 が減少 し全て押 し抜くことが出 来るようになった。

図4に圧密前と 圧密後の 断面の 比較と 、図5に 押し抜き 成型法により製作した圧密コネクターを示す。

図2 竹ヒゴの断面写真

25

100

40

160

18

35

5

17.6

上部ストレート部

テーパー部

受け治具

図1 押し抜き成型法の概略図

18. 0 18. 3 竹材

図3 押し抜き成型時の荷重曲線

S 90- 8.0A

0 2 4 6 8 10 12 14 16

0 50 100 150 200 250

変 位 (mm)

荷重

k

N

S 90- 8.0A - 1

(3)

表1 試験体リスト

N 未処理

P サンドペーパー

V 切り込み

P V サンドペーパー+切り込み

S 全ねじ

P S サンドペーパー+ねじ

S t eel 鋼製接合具 7.3

試験体名 表面加工

各3体

平均密度

(g/ ㎝

3

1.27 ∼ 1.39

図6 サンドペーパー加工 図7 Pシリーズ

図8 切り込み加工 図9 Vシリーズ

図10 PVシリーズ 図11 ねじ加工

図12 Sシリーズ 図13 PSシリーズ

2. 2 圧密竹コネクターを用いた継手接合部の引張試験

押し抜き 成型法 により製 造した 圧密竹 コネクターを用 いて、継手接合部の引張試験を行った。

表1に試験体リストを示 す。コ ネ ク タ ー表面 の加工状 態をパラメータにとり、①表面加工をしていない状態(N シリーズ )、②表 面をサンドペーパー( 粒度#60)で粗 くした状 態(Pシリーズ 、図6, 7参照)、 ③卓 上 丸のこ盤 で 繊 維 と 平 行 方 向 に切 り 込 み ( 深さ : 約 1 mm、幅 : 約 2mm) を 施 し た 状 態 (Vシ リ ー ズ 、図 8, 9参 照 ) 、④ Pシ リーズと同様の加工を施し、かつVシリーズと同様の加工 を施した 状態(PVシ リ ー ズ、図10参照) 、⑤表面全体に

ねじ加工(深さ:約1. mm、ピッチ:約4mm、図11参照)を

施した状態 (Sシリーズ、 図12参 照)、 ⑥Pシリーズと同

様の加工を施し、かつコネクターの両端約30mmの部分にS

シリーズ と同様の 加工を 施した 状態(PS シ リ ー ズ、図13 参照)の6種類の試験体を準備した。なお、比較のため圧 密 コ ネ ク タ ー と ほ ぼ 同 じ 形 状 及 び 寸 法 の 鋼 製 接 合 具 (St eel シリーズ) についても実験 を行う こ と と し、各3 体ずつの 試験体を 製作し 実験を 行った。 母材の 樹種はス ギ(乾 燥 材)とし 、充 填 用の接着剤と し てエポキシ樹脂 接着剤を 使用し、 突合せ 面には 木口面接着の効 果を排除

するため ウレタンシート を挟ん だ。接 着 剤の養生期間は 14日間とした。

3. 結 果 及び考 察

3. 1 引張試験結果

図14に継手接合部 の引張試験の 最大耐力 を示す 。最大耐 力は、St eel シリーズを用いた試験体が最も高い値を示し、

Nシリーズを用いた試験体が最も低い値を示した。

St eel シリーズは鋼製接合具と接着剤の付着強度が大き

図4 圧密前と圧密後の断面の比較

図5 押し抜き成型法による圧密コネクター

(4)

いため、 母材の破 断に よ り最大耐力が決 定し、 最も高い

値が得られた。Nシリーズのコネクターの表面は、鏡面性

の高いメッキ処理 を施し てある 金属治具 の内面 によって 圧密され るため、 密度が 高くな り光沢の ある状 態となっ ている。 このため 、コネクター 表面の接着剤が 細胞組織 に含浸することで 生じ る と さ れ る「投錨効果」 が得られ にくい状 態であったと推 察さ れ る。このような 要因によ り、コネクター表 面と接着剤の 付着効率 が悪くなったと 考え ら れ る。このためコ ネ ク タ ー表面と 接着剤 の付着切 れによる 引き抜け が起こ り、最大耐力が 決定したために 最も低い値となった。

Nシリーズと表面加工を施した各シリーズを比較すると、

表面加工を施したコネクターの各シリーズの値がNシリー

ズの値を 大きく上 回る結 果となった。ま た、表面加工を 施したコネクター のシリーズの 中では、 ばらつきはある もののVシ リ ー ズを除 くP, PV, S, PS シ リ ー ズは、 さほど差 は見られなかった。

その結果、最大耐力において表面加工を施していないN シリーズと表面加工を施した各シリーズを比較すると、N シリーズの1. 5倍以上の最大耐力を得られることが明らか になった。

3. 2 押し抜き成型加工装置の製作

<装置の概要>

これまでの 実験結果 を基に押 し抜き成型装置の 仕様を 策定し、 製作に取 り掛かった。 図15に製 作したその装置 を示す。本装置は、3つの圧入工程と治具の取出し工程の、 4つの工程から構成されている。これらの工程は、ターン テーブル上に1/ 4ずつのエリアを有しており、作業者が竹 材をセ ッ トしスイッチを 押すことにより 工程が スタート する。一 つの工程作業が 終了するとターンテーブルが回 転し、順 次、次の 工程へ と進み 、受け治具取出 し工程で 受け治具が自動で排出されることとなる。

1. 竹材セット工程

・上部ストレート治具へセットされた竹材を5mm程度、 テーパー治具に押し込む。

2. 圧入第一工程

・φ 25m mのストレート 圧入棒 で、竹材 をテーパー治具 上面まで押し込む。

3. 圧入第二工程

・φ 16m mのテーパー圧入棒で 、竹材を テ ー パ ー治具上 面から更に受け治具位置まで押し込む。

4. 受け治具排出工程

・圧入完了後ターンテーブルが 回転し、 排出口 から受け 治具のみ排出される。

<加熱装置>

図16に 示す よ う に、受 け治具 の加熱を 行うためにター ンテーブルの1/ 4のエリアごとに加熱部を配置した。これ は、竹材 の軟化と 接着剤 の熱 硬 化を促進 させるためであ る。1つ の加熱部 に3本 の電熱 ヒータを 配置しており、

Max200℃まで加熱することが可能である。

<圧入装置>

圧入棒 の押し込 みには 、最大 3ヶ所で の圧入 が想定さ れるので 、Max10t onの ボ ー ル ベ ア リ ン グ ジ ャ ッ キを採用 した。スムーズな 圧入が 可能となる。ま た、上下運動速

度(押し込み速度)はインバータ制御により可変(8Hz −

60Hz )が可 能である。10Hz時の 速度は 約50mm/ mi nである。

図14 継手接合部の引張試験の最大耐力

0 5 10 15 20 25 30 35 40

N P V P V S P S 鋼製

最大耐力

k

N

平 均 値

図15 押し抜き成型加工装置

(5)

4. ま と め

仮設構造物を設計する際の接合部の短期許容応力は

12. 7kNであるが、通常は安全率を見込んで2倍以上の値

が求められてくる。

今回試験 を行っ た表 面 加 工を施 したものは製造方法の 違いに関 わらず、 短期許容応力 のほぼ2 倍の耐 力を示し ているが 、試 験 体 数が少 な い こ と、バラツキがあること などから 、さ ら な る耐力 の向上 を目指す 必要性 がある。 前述したように素材引張試験においては 、鋼材 に近い引 張 強 度が 得 ら れ て い る の で 、鋼 製 接 合 具( St eel シ リ ー ズ)の耐力 に近づ く可能性 は十分 あると 考えられるので、 接着剤の 付着性能 の向上 を目指 し、今後 、表面加工方法 等についてより詳細に検討を進めていく考えである。

本研究は 、大 分 県産業創造機構 の新 産 業創出 重点研究 開発事業によって行ったものである。

参照

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